Tag Archives: ロシアン・ラップ

Осень = Autumn

* 喪失感で 心が痛む 私は信じるから あなたも信じて
日々が過ぎれば 悲しみも去る 春が来たら 2月が去るように
残念がることなんて なに一つない 力も十分に ペダルを踏むわ
時が止まれば 悲しみも止まるから もう行ってちょうだい

強い風に乗って 秋が吹き込んできた
大雨 肌寒い日々 眠れない夜 紅葉 おかしな思考
探索の中の 銃声のごとき質問
俺はまったく孤独だ 自由が欲しい
この空だけが 俺を気にかけているようだ
建設ではなく荒廃 —–  議論は持ちかけないでくれ
死を超えた人生 —– 君は俺を引き止めない
見つめてくるけど その目は冷たい
一緒に居たくても この都会が君を離さない
君は理由を探すものの 俺を引き止められない
俺は 鳥のように自由 飛ぶために生まれた
理解しにくいだろうが その分忘れがたくもある
簡単に失う事もないが 愛すのも難しいんだろう
俺はまたしても 君を失いかけているようだ
君と この愛のためには すべてを捧げる覚悟ができている

* 繰り返し

俺は間違っていると 言う奴がいるかもしれない
俺が 幻想と夢の中ばかりに生きていると言って
恐怖と痛みを克服して ようやく呼吸して
やっと生きて 心臓も止まったようなものだ
行くな! 少しで良い 待ってくれ
止まれ! 長く続く道よ 歌ってくれ
続く辛い道のりを この先の風向きを
なるようになれば良い 天が俺を裁けば良い
君の元へ 夕日の旋律と共に戻っていくよ
平然を装ったりはしないで 戻っていくよ
家路は星が示してくれる いつだって早すぎたりしないし
遅すぎたりもしない 空が泣いて涙が流れる
待った方がいいなら 時間はあるから俺は待つよ
3つの単語からなる 例の最も大切な愛の言葉を
言う事を 急かしたりはしないから

* 繰り返し

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Basta — The song from album “Basta 1″

バスタ のアルバム「Баста 1 = Basta 1」収録曲。

Навсегда = Forever

渋滞の道 ライトで輝く街を飛ぶ
何かを追いかけ 一生を走り抜ける

今はただ この目を見るんだ
落ちていくのは止めて 僕らのことを思い出せ
気怠そうな夏のネヴァ川だって
僕らに夢の感触を与えてくた
それはまるで薬のようで
柔らかい 口紅で色づいた唇にも似て
ファンクって感じだった

外洋では 愛せない人は愛さなくていい
ただ どんなに寒い冬にでも
理解する気持ちを持っていればそれでいい
秘密の世界の窓は いつまでも謎に包まれている

五つの街角での別れ
夜は僕らに冷気と 新しい一日の光を運んでくる
離れたと思ったら また誘い合う

過ぎ去った日々に語られた言葉の
一つ一つは覚えていても
彼女の事は いつまでも忘れたままでいろ


僕がどんなに君を抱きしめたかったか
どんなに手放したくなかったか
君には分かりっこないんだ
いつまでも 繋がりは断ち切られたまま
記憶だけが残されている
永遠に 結びつきは失われたまま
あの日々はもう 取り戻せはしない


Летя в потоке машин, в городе глянца,
Бегущей целую жизнь, просто чтобы угнаться.

Смотри в эти глаза, только сейчас,
Только не опуская вниз, вспомни о нас,
Ленива летняя Нева, но именно нам она,
Дарила прикосновение сна,
Это лекарство, как нежные губы, помадами,
Как будто фанк.

В открытое море, не люби не любимых но,
Дари понимание, даже в холодные зимы,
Окна, в которых тайный мир, навсегда тайнами.

Прощания пяти углов,
Ночь принесет нам прохладу, и свет нового дня,
Разлучая, но снова маня,

Помня каждое слово, в хронике прожитых дней,
Навсегда, навсегда забудь о ней.


Тебе не дано понять меня,
Как я хотел обнять тебя,
Тебе не дано понять меня,
Как я не хотел терять тебя,
Навсегда, утеряна та нить,
Осталась лишь память,
Навсегда, утеряна та нить,
Нам не вернуть тех дней прости.

アッサイのアルバム”ファタリスト”収録曲)

Солнца не видно = Sun isn’t seen

Здесь даже солнца не видно, говорят
太陽すら見えないこの場所には
Здесь нех… ловить но, но мы
クズみたいなものしかないと言うが
Мы в собственном ритме
俺たちはペースを崩さずに
Мутим то, что помогает жить нам
生きるために必要なことをする
Пропитаны бытом и пылью
習慣とホコリがしみ込んだ身体で
Здесь без мазы сказку сделать былью
実話からおとぎ話を紡ぎ出す
И время шепчет I’ll kill you
時は”I’ll kill you”と耳元に囁いてくるが
Но мы мутим то, что помогает жить нам
俺たちはただ 生きるために必要なことをする

Basta feat. Boombox
— The song from album “Basta 3” by Basta.

バスタ feat. ブームボックス
— バスタのアルバム「Баста 3 = Basta 3」収録曲。

Остановка = Pause (Audio)

Скажи, если я не приду, что ты подумаешь
もし僕が行かなかったら
Если мой телефон не будет отвечать,
もし電話にでなかったら 君はどう思う?
Вдоль извилистых парков, я бегу,
曲がりくねった公園沿いに走っているけど
Но не знаю куда бежать,
どこへ向かっているのかわからないんだ

Скажи, если я не приду, что ты подумаешь,
もし僕が行かなかったら どう思う?
Это не более чем на два дня,
2日以上はかからないはずだ
Просто остановиться,
なかなか行き着かない道の途中で
Не дойдя, не дойдя, не дойдя.
一時休止しているだけだから

アッサイのアルバム”ファタリスト”収録曲)

Bast/Guf Live at Green Theater 2012

2012年7月19日 モスクワの川沿いの野外シアター”Зеленый Театр = Green theater”でバスタGufが合同ライブを行う。それに先駆けて発表された招待状クリップ。

date : 19 July 2012
time : 20 : 00 –
ticket: 1100p – 35000p(vip)
place: Крымский вал.д.9 Москва

Прогулки в никуда = Walks to nowhere (Audio)

 

Крепкий индийский чай,
濃く淹れたインドのお茶
Облака плывут очень низко,
地上に近く漂う雲
Густой ароматный дым,
深く強く香る煙
Детский смех,
子供たちの笑い声
Шум летней воды,
夏に跳ねる水の音
.
.
.
Солнечный блик на твоем плече,
太陽の光線が君の肩で踊り
Звонкий голос птиц,
小鳥たちの声が響き渡り
Я закрываю ладонью глаза отца.
僕はそっと父さんの瞼を閉じる

アッサイのアルバム”OM”収録曲)

Ростов – Город, Ростов – Дон = Rostov – City, Rostov – Don

Adults and children know that Rostov-on-Don is the best city on the planet….!

Ноггано  dedicated this song to his hometown Rostov on Don. In the opening, he hums a traditional song of Rostov on Don.

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ノガーノが出身地ロストフ・ナ・ドヌに捧げた一曲。

出だしで彼が口ずさんでいるのは、1941年大祖国戦争の頃に作られた”Ростов – город = ロストフ・ナ・ドヌの歌”。(以下はその歌詞)

Мы жили в этом городе, 我々はこの街に暮し
Дружили в этом городе, この街で友情を育み
Ходили в этом городе гулять. この街中を散歩した
Как шли мы с разговорами, 語らいながら道を行き
С гитарой, с переборами, ギターをつま弾き、そのメロディを
Любили мы подружкам напевать 女の子達に歌いかけた

Ростов-город, Ростов-Дон! ロストフの街 ロストフ・ドン!
Синий звездный небосклон. 天に輝く青い星よ
Улица Садовая, サドーヴァヤ大通りに
Скамеечка кленовая. 楓のベンチ
Ростов-город, Ростов-Дон! ロストフの街 ロストフ・ドン!

 

Ноггано в г. Лондон = Noggano in London

ノガーノ(=バスタのもうひとつのプロジェクト)が2011年11月29日ロンドンの”CLUB Merah”で開いたライブの「招待状ビデオクリップ」。バスタが抱える分厚い本は露英辞典で、めくられていく紙には、バスタが英語で歌っている部分の内容もキリル文字で表されている。

БАСТА ЕДЕТ В ЛОНДОН! = Basta goes to London!

2012年5月10日にロンドンのクラブ”Pacha London”でバスタがライブを行った。これは、それに先駆けて発表された「招待状ビデオクリップ」。 ——– バスタがロンドンに行くぞ!

Блик = Blink

Клип на трек из альбома KREC Осколки.
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The track from KREC‘s album Осколки=Fragments.

Город дорог = City of roads

CENTR feat. バスタCENTRの初期のアルバム”Качели=Swing”収録曲。Guf、Ptaha、Slim、バスタ、4人共とても若々しい。

Тёмная ночь = Dark night

Тёмная ночь, только пули свистят по степи,
闇夜 ただ弾丸の音が草原に響き
Только ветер гудит в проводах,
風が導線をうならせて
Тускло звёзды мерцают…
かすかに星がまたたいているだけ

В тёмную ночь ты, любимая,знаю,не спишь
暗い夜に 愛しい君はまだ眠れずに
и у детской кроватки тайком ты слезу утираешь…
ベビーベッドのそばで そっと涙を拭っているんだろ

Как я люблю глубину твоих ласковых глаз,
君の優しい瞳の深さを どんなに俺が愛しているか
Как я хочу к ним прижаться губами…
どんなにその瞼に 唇を押しつけたいか・・・

バスタが2010年に発表した曲。オリジナルは1943年、第二次世界大戦独ソ戦のさなかに製作された戦争映画「Два бойца (a file of men)」の主題歌。兵隊が綴った手紙の内容を歌っていて、バスタ以外にも多くの歌手がカヴァーしている)

Вальс = Waltz

Танцуй не со мной, я же вижу,
Не со мной, такое красное сердце,

В облаке прозрачных платьев,
В карусели свадеб и драк,
Кружит, кружит, кружит вальс.

私と踊ってはだめ、だって私には
赤く火照るようなハートはないから

半透明に光るドレスの雲群の中、
結婚式と争いの回転木馬の上、
ワルツがくるりくるりと回っている

アッサイのEP “Лифт – Lift”収録曲。これは2007年のウクライナ映画「Оранжевая любовь = Orange love」の映像を使ったファンビデオ。約2分の短い作品)

Надо лечиться = Need to be treated (Audio)

普段は健康のことで不満を言ったりしないんだけど、
なんかいつもと調子が違うから
良くなりたくて一曲書かせてもらった。
なにか助言をくれないか?
具合が悪いんだけど、何から始めたら良いかわからないんだ。

頭痛持ちで、特に右のほうがいつもひどく痛む。
血の巡りが悪いのか、
暑い夏にだって、足が凍えるように冷たい。

他の奴らがどんなに厚着してたって、
ステージの上じゃ、俺が誰よりも汗をかく。
特別にものすごい動いているわけじゃないから、
俺のせいってわけじゃなく、温風でも吹いてくるんだろ。

ここ数ヶ月ほど、ライブの途中、
三曲も歌い終えたら声が出なくなる。
医者は不思議がりながらも、確信を持って言う、
もうじき甲状腺に問題が生じるだろうってさ。

寝る前にはいつも何か飲まなきゃならない。
ビールでもかまわないけど、
ウィスキーかラムのほうがいいだろうな。
楽しい気分を続けたくなるから、
朝はいつも二日酔いで倒れてるってわけだ。

起き抜けに、たまに目を開けられなくて、
閉じたまま部屋の中を行ったり来たり。
でも朝の運動を終えれば直るんだから
まあ、目に関してはまだ大丈夫だろう。

治療しなきゃってことはわかってる。
だから何から手をつけるべきか教えてくれないか?
人間は鳥じゃないってことも知っている。
でもこの街に生まれて以来、俺が覚えたかったのは、
空を飛ぶこと、ただそれだけだったんだ。

Gufのアルバム”Дома (houses)”収録曲、歌詞からの抜粋。
実際にGufは麻薬により病んでいたわけだが、まじめな口調で
現実的な内容を歌うのは、彼の好むスタイルでもある)

Собака = Dog

Трек из альбома KREC ”Нет волшебства”.
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The track from KREC‘s album ”Нет волшебства=there is no magic”.

 

“Где хозяин, когда придет?
И где искать ласки, когда увижу солнце,
И где эти руки прекрасные, что случилось?”
Собака загрустила:
“Может мир мой, моя любовь,
Была не нужна никому, никогда.
Ведь я был верным.
Как же так, послушай,
Лишь тебе одному я доверял душу”

”あの人はどこ、いつ戻ってくるの…?
優しさはどこに?太陽はいつ見られるの?
あの夢みたいに温かかった手はどこにあるの?
いったい何が起こったの?”
ーー 犬は悲しみに暮れてこう思う。
”もしかして僕の愛は、この世界では必要のないものだったのかな。
こんなに忠実だったのに・・・そんなことってあるかな。
僕はあなただけを信頼してたんだよ”

KRECのアルバム”Нет волшебства=there is no magic”収録曲)

Босанова = Bossa nova

Basta — The song from album “Basta 3″ .

バスタの3rdアルバム収録曲。

Баста : Basta

Basta

Rapper / singer from Rostov on Don, Russia. 

He is also know as NogganoNintendo.

In the childhood, he loved listen to any genre of music and started to write songs when he was 15 years old. In 1997, he joined United Kasta (it was originally part of Kasta) in the name of Basta Hryu. His first big hit “My Game” came in 1998, and the song attracted much attention. In 2004, he has moved to Moscow and got to know Guf and they re-recordedMy Game together. In 2009, Basta began recording album with Guf. Their collaborative album “Basta/Guf 2010″ was released in November 2010. Basta is not only a popular rapper but also a great singer. That’s a one of the reasons, that he can collaborate with any kind of musicians at will.

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ロシアのヒップホップにおいて、とても大きな役割を担い続けている重鎮。スタイルはギャングスタラップ系からバラードまで幅広い。自ら主催するレーベルGazgolderには、今まさに活躍するアーティストが多く所属している。本名ヴァシーリィ・ミハイロヴィチ・ヴァクレンコ。1980年4月20日 ロシア南部の街ロストフ・ナ・ドヌの軍人の家庭に生まれ育つ。家族の思い出として、悩める十代の頃、自らの祖母に「今は悩んだりフラフラしたりしているけど、全ては大人になった時きっと役に立つから」という言葉をもらった、と話している。15歳の時に初めてラップを書き、最初のグループを組む。もともと様々な音楽を聴いていたが、やはりその傾向はヒップホップに。Basta hryu名義でソロ活動を開始し、1997年に地元のヒップホップ・ユニットPsycholyricにゲスト参加するなど、ロストフ・ナ・ドヌのラップ・シーンで目立つ存在となる(Psycholyricはその後ロシア国外でも人気を得ることになるユニットКаста(Kasta)の前身)。この頃すでに、メロディアスで詩的要素の強い作品を作り始めている。その翌年、18歳の時に「моя игра (My Game)」を発表し、地元のスポーツイベントでパフォーマンスをする。この曲は初期の彼の代表作となった。これにより自信を得たBastaは、より意欲的に活動をしていく。この頃(1990年代後期)はロシアのヒップホップが盛んになり始めた時でもあった。ラップユニットが多い中、ソロのBastaは他のアーティストとコラボレーション曲も多数発表する。その後、自分の音楽を見直すため、と一時活動を休止するが、2002年に友人が彼のためにコンピュータやレコーディングシステムを設置。それを機にBastaは過去の作品をもう一度見直し、新作も作り始める。2004年にモスクワへ移り、その2年後にデビューアルバム「Basta1」リリース。「Осень (Autumn)」のPVがテレビでも流される。その後モスクワのラッパーのGufと知り合い意気投合し、「моя игра (my game)」を二人で再レコーディング。グフが率いるユニット ツェントルの楽曲「Город дорог (City of roads)」に参加。

2006年にレーベルGazgolderを設立。2007年には二作目を発表し、更なるヒットとなる。同年にНоггано (Noggano)という名前で新しいプロジェクトを開始。やや感傷的な空気も漂うBastaの作品とは異なる、荒々しさとおふざけ要素が含まれた作風の楽曲を発表している。また、翌年にはN1NT3ND0 (Nintendo) 名義でも活動していて、こちらでは自らをサイバーギャングというキャラクターに仕立て、よりダークかつ多く電子音を取り入れた世界観を作り上げている。なぜ、Nintendoとう名前にしたかというと、日本語の「任天堂」が持つ「自分の役割を果たして、天命を待つ」という意味合いが気に入ったからだ、という。2009年、グフと二人でアルバムの制作に取り組み、2010年秋「”Баста/Гуф (Basta/Guf)」を発表。この頃から徐々にGazgolderにはレーベルの顔となるラッパーたちが揃い始め、2015年にはその内の一人smoky Moとも共同でアルバムを作成。この年には、ロシアのラッパーとしては初めての試みで、オーケストラを率いてモスクワのオリンピック・スタジアムで大掛かりなコンサートを開催した。

*ラップを読みメロディーも歌うバスタは、様々なアーティストと自在にコラボレーションできる、ある意味とても特殊なラッパーと言えるが、一時期活動を休止して考える時間を必要とした理由も、そんな自身の器用さに対する不信感に通じているのではないかと思う。初期の楽曲と最近のものとの違いもそこにあるような気がする。

*お茶が好きで、中国茶の入れ方を紹介するMTVの番組にも出演した。プロモーション・ビデオでもお茶を飲むシーンが出てくる。
『中国茶の淹れ方(ロングバージョン)』『プアール茶と鉄観音茶の淹れ方』

 

● ● ● DISCOGRAPHY ● ● ●

 

Баста 1(Basta 1) : Gazgolder 2006
これ以前にも別名義(Basta Hryuなど)でアルバムは発表していたが、Bastaとしてはこれが一作目。Bastaの出身地ロストフ・ナ・ドヌでは、すでにKastaが活躍していた頃。一時的なブランクを経て、Bastaは2006年に自身のレーベルGazgolderを立ち上げた。そして、間も無くのこの1stアルバムリリースで、楽曲のプロデュースは全て自分が行った。18歳の時に書き上げたBastaの出世作「Моя игра (My game)」も収録。アルバムの中からは、女性ボーカルを取り入れた「Осень (Autumn)」がヒットし、PVも作られテレビでも流された。このアルバム以降、Bastaのソロアルバムは全てナンバリングにより名付けられることになる。

Баста 2(Basta 2) : Gazgolder 2007
1stに比べてサウンド的にも軽快で、土っぽさが抜けたような印象。この当時の風潮に逆らうような、ベタでソフトな音楽スタイルを堂々と示して見せた一枚。ロシアのポップシンガーМакSим(Maksim)とのコラボレーション「Наше лето (Our Summer)」と、ウクライナの歌手Леся Верба(Lesha Velba)とのデュエット「Сон(Dream)」など、前作に引き続き女性ヴォーカルを起用したキャッチャーでロマンチックな曲が特にヒットした。アルバムからはその二曲を含め5曲のためにPVが作成された。また、1stアルバムの中から「Моя игра (My game)」を、Gufとコラボレーションして、新たなアレンジで再録音し収録した。

Баста 3(Basta 3) : Gazgolder 2010
過去最大のヒットになった3rdアルバム。ロシアTop25チャートのインターナショナル部門でトップに輝いた他に、2009にNoggano名義で発表したアルバム共々、Russian Street Awardsを受賞した。内容もバラエティに富んでいて、コラボレーション・アーティストも多彩。新しくGazgolderに加入したばかりの女性シンガーTatiとの共演も二曲収録。「Босанова(Bossa nova)」や、2009年のアクション映画「アンチキラーD.K.」でテーマ曲に採用された「Любовь без памяти(Love without memory)」などのバラード調の曲が、Bastaの新たな一面を示した。

Баста 4(Basta 4) : Gazgolder 2013
Bastaの33歳の誕生日に発表された4作目。N1NT3ND0 (Nintendo) 、Noggano名義でも活躍し続けてきたBastaは、この頃にはすっかり超ベテランの座についていて、新作に対する期待もすさまじかった。長年の友人Gufとの不仲が取りざたされた事もあり、このアルバムへの注目度はなおさら増していた。TatiやSmoky Mo、Rem Diggaなどが主な参加アーティスト。元Bad BalanceのMikeyのカヴァー「Мама(Mama)」も収録。Tatiとの本格的なデュエットが、アルバムに先駆けて発表され注目を集めた。馴染みのあるポップでメロウな要素も残しつつ、全体的にはロック色の強い仕上がりになった。

Баста 5(Basta 5) : Gazgolder 2016
二枚に分けてリリースされた5作目。その理由は「期限内に、すべてをまとめ上げる事ができなかったから」。4作目の延長線上にあるような作風で、当初からのレーベル仲間Smoky Moが、相変わらず参加している他、Crip a crip、KastaのZmey、Karandash、Lionなどの大物たちとのコラボレーション曲「Рэп как шанс(Rap as a chance)」も見所の一つになっている。初めにシングルカットされたのは、「Родина(Home)」という映画のために書き下ろされた「Там, где нас нет(Там, где нас нет(Where we do not exist)」。その後も二曲がシングルとして発売された。

Любовь без памяти = Love without memory

Basta feat. Tati – The song has been featured in a number of soundtracks “Antikiller D.K. – Love without memory(2009)”. The song has won  ”Best soundtrack of the year” in RSA (Russian Street Awards) 2010.

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Это больше чем сердце 心よりも大きく
Это больше чем весь мир 全世界より壮大で
Это дольше чем вечность 永遠よりも長い
Любовь без памяти 記憶のない愛

Это выше чем небо 空よりも高く
Это дороже чем жизнь 命よりも大切
Пронести через время 時を超えて持ち続けるんだ
Любовь без памяти 記憶を伴わない愛を

タクシー運転手役のバスタが、それぞれ異なる思いを抱えた客を乗せてモスクワの街を走る。2009年のアクション映画「アンチキラーD.K. Love without memory」サウンドトラック収録曲。RSA (Russian Street Awards) 2010でSoundtrack of the yearを受賞。

Еле дыша = Barely breathing

Клип на трек из альбома KREC Осколки.
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The track from KREC‘s album Осколки=Fragments.
And this track is one of most popular songs on this album.

KRECの2010年のアルバムОсколки収録曲。

Еле дыша, я ждал тот час, чтобы сказать,
Как ты нужна, к сердцу прижав: “не уезжай”
Еле дыша, я ждал тот шанс, чтобы обнять,
Медленный джаз закружит нас в последний раз

かろうじて呼吸しながら どんなに君が必要か
伝える瞬間を待っていた
”行くな”という言葉を、自分の胸に押し付けて
やっと息をしながら 抱きしめる機会を待っていた
二人の最後のときを スロージャズが包み込んでいた

Голос = Voice

アッサイのアルバム”ファタリスト”より。Maestro A-Sid と ステイシャ の参加により、アルバム収録バージョンとは若干異なるアレンジになっている。

Другие берега = Other shores (Audio)

アッサイのソロデビューアルバム タイトル曲。繊細な歌詞と、イントロが印象的。演奏とバックボーカルにマルセルが参加していると思われる。

Ice Baby

Gufが妻アイザ(Ice Baby)に向けて歌ったとても率直なラブソング。

Ice, ice ice baby, я буду тебя любить, 
Даже когда я буду на небе, 
Ну а пока что я здесь и я в рэпе 
И я тебя люблю, слышишь, ice baby

アイス、アイス、アイス・ベイビー
たとえ空の上に行っても君のことを愛するよ
でもまだ俺はここに居て、ラップを奏でながら、
君を愛してるんだ アイス・ベイビー

Счастье = Happiness

アッサイ アルバム”OM”に先駆けて発売されたシングルより。

На крыше моего дома есть тайное место. Каждую ночь мы ждем сигнала оттуда.

on the roof of my house is a secret place. every night we are waiting for a signal from there

屋根の上には秘密の場所があって 僕らは毎晩そこからの信号を待っている

Силуэт = Silhouette

The song on Assai‘s EP “Лифт – Lift”. feat. Maestro A-Sid.

Остаться = Stay

アッサイのEP “Лифт – Lift”より。

Лифт = Lift

アッサイのEP “Лифт – Lift”より。マルセルのミーチャとエフゲニーがピアノ、サックスで演奏・出演している。

Легко ли быть молодым = it’s easy to be young

CENTRの2ndアルバム”Эфир в Норме (Ether in norma)”収録曲。アルバム発表後にメンバーが仲間割れしたため、それぞれが別々に撮影することになったクリップ。撮影当時Gufはすでにグループから脱退していた。

CENTR

CENTR

CENTR formed by Guf and Princip in 2004.

They recorded demo-CD “Gift”, but issues in circulation were only 13. Soon afterwards Slim and Ptaha joined CENTR. Group got 4 MC at that moment. But in the same year, Princip arrested on drug and was in prison. CENTR decided to stop activities as a group for a while.
In 2006, Guf, Ptaha and Slim got together again and recorded songs for soundtracks of film “Heat”. They re-recorded album “Gift” and founded “ЦАО Records (CAO Records)”. In 2007, CENTR has released album “Swing”. Princip also able to join to record but after that, left the group and started solo career. 3 MC of CENTR wrote a song for film “Shadowboxing 2: Revenge”. In 2008, album “Ether in norma” was released. But after friction with the members of the group, Guf left the group. This news was highly publicized but Ptaha and Slim decided to continue being active as CENTR. In 2011, they released album “Legend of the … CENTR”.

In the photo ↑ from the left —— Ptaha (Птаха), Slim

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GufとPrincipにより結成されたユニット。結成当初はロシア語表記でЦЕНТРと名乗っていたが、商標登録の問題で後に英語のCENTRに改名した。2004年にデモアルバム「Подарок (gift)」を録音するが、発行部数はわずか13枚で、内輪で広まったに過ぎなかった。その後Gufが仲良くしていたОтверженных (Otverzhennykh)のメンバーでアルメニア系アゼルバイジャン人のПтаха(Ptaha)が、その後Дымовая Завеса (Dymovaya Zavesa)のメンバーのSlimが加わりCENTRは4人となる。だが同年に、Principが逮捕され一時解散。それぞれはもとのグループに戻ったり、ソロ活動に専念した。2006年Principをのぞく3人が再び集合し、映画「Жара (heat)」のために数曲を書き下ろす。Principもアルバム作成に参加したが、彼はそのあとグループを離れソロ活動を開始。再び3人となったCENTRは、映画「Бой с тенью 2: Реванш(Shadowboxing 2: Revenge)」のサウンドトラックに参加。2008年、2ndアルバム「Эфир в Норме (Ether in norma)」を発表。メンバーが自らの麻薬体験を赤裸々に語る内容が話題になった。また同年にライブ映像を収録したDVDも発売。

2009年夏、口論の後Gufが脱退。グループの核でもあり、アイドル的人気を誇っていたGufが抜けるということで、CENTRは解散すると言われたが、PtahaとSlimはCENTRの存続を決意。2011年に、レーベルの所属アーティストアルバムЛегенды про(Legendy Pro)と共同で、「Легенды про…CENTR (“Legends of the … CENTR)」を発表した。CENTRとしてもソロ活動でも、PtahaとSlimは着々と力を示していき、それぞれファンを増やしていった。PtahaはZanuda名義でも活動開始。現在はGufと和解し、2014年からGufはソロ活動と並行して、CENTRにも復帰した。2016年にはファン待望の新作「Система (System)」をリリース。その三曲目「Не на рингтоны (Not in the ringtones)」では、五木ひろしの氷雨をサンプリングに使っている。

Гуф : Guf

Guf

Rapper from Moscow, Russia.

In one’s youth, he lived in China with his parents. After his return to Russia, he started his career as a rapper.

in 2004, Guf and Princip (rapper from Moscow) formed group CENTR and recorded demo-CD “Gift”. Slim and Ptaha joined CENTR and in 2007, group released album “Swing”. in the same year, Guf released his first solo album “city of roads”. In 2008, CENTR released their 2nd album “Ether in norma” but after friction with the members of the group, Guf left the group and founded record label “ZM Nation” with Princip.

In 2009, Guf released his 2nd solo album “Houses”. The next year, began collaborating with Basta and they released album “Basta/Guf 2010”. Guf and Basta held many concerts together. 1 November 2012, his 3rd solo album “Sam i” was released.

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ロシアで最も有名なラッパー。そのスタイルにはアメリカのヒップホップ文化からの影響を強く感じさせる。1979年9月23日モスクワに生まれる。スマートな外見から若い頃はアイドル的な見方もされていたが、それは本人にとってはあまりプラスには働いていなかったようである。青年期に7年ほど中国に住んでいたが、麻薬中毒になったのをきっかけにロシアへ帰国した。2000年にRolexxというグループを結成し音楽活動を開始。2003年にラッパーPrincipと新たにCENTR(ツェントル)を結成。その後SlimとPtahaが加わり、CENTRはこの世代を代表するグループになる。CENTRとしてアルバムをリリースしつつ、Gufは2007年にソロとしての1stアルバム「Город дорог (city of roads)」を発表。2008年CENTRは「Эфир в Норме (Ether in norma)」を発表するが、翌年メンバーとの口論の結果、Gufは脱退。Principと共にレーベルZM Nationを立ち上げ、2009年12月にソロ2作目を発表した。この頃Gufと人気をほぼ二分していたのがBastaで、二人は活動初期からコラボレーションを繰り返していた。GufはついにはBastaの主催するレーベルGazgolderに加入し、二人は共同でアルバム「Баста/Гуф (Basta/Guf)」を作成した。

2012年11月、Gufは3作目となるアルバム「Сам и (Sam i)」を発表するも、Bastaと仲違いしレーベルを離れた。二人の喧嘩はTwitterのやり取りからも知る事ができ、その言葉のやり取りはファンの心配を大いに煽った。一方、長い事険悪だったCENTRのメンバーとは和解。4作目には早速彼らの共作が収録されている他、Gufは再びCENTRのメンバーに戻った。元妻はAiza(通称Ice Baby)という歌手で、おしどり夫婦で有名だった。2015年に離婚したが、彼女に捧げたラブソングは多く残っている。

その他のエピソードの中で有名なものが、おばあちゃん子である事。Gufの祖母タマラ・コンスタンチーノヴナは、♪Original Baという曲でラップを読みGufと共演している。その曲の中でGufは”万里の長城を見た事が無ければ、中国に行ったとは言えないように、俺のばあちゃんを見た事が無ければ、俺を知ってるとは言えない”と語っている。

 

● ● ● DISCOGRAPHY ● ● ●

 

Город дорог (city of roads) : Монолит (Monolit) 2007
CENTRの活動を始める前から書き溜めていた楽曲をまとめた、ソロとしての1stアルバム。Introには、Gufが19歳の時に作った記念すべき第一曲目「Китайская стена(Chinese Wall)」をサンプリングしている。CENTRの仲間SlimとPtahaも参加。楽曲のプロデュースはほとんどSlimが手がけた。Gufの初期の代表曲とされる「Трамвайные пути(Tram rails)」も収録されいている。CENTRの楽曲と同じく、自身の麻薬体験やドッラグ・カルチャーを通したものの見方などが、アルバムの内容の主である。注目すべき曲は、自分の祖母タマラをテーマに書き上げた「Ориджинал Ба(Original Ba)」。実際にタマラが、Gufの書いたテキストを読んで参加している。

Дома (Houses) : Монолит (Monolit), ZM Nation 2009
2009年の夏、メンバーとの口論の末GufはCENTRを脱退。CENTRに残ったPtahaとSlimも、それを機にソロ活動を開始し、各々ソロアルバムをリリースしたが、Gufのソロ2作目もそれを追うようにして発表された。前作を担当したSlimに代わって、Mikoがメイン・プロデューサーを務めたが、他にもBastaやMarselleのNelが楽曲を提供している。フューチャリングアーティストとして、Gufの昔からの仲間Principも参加。前作と聞き比べれば、2年の間にGufの世界観と実際の私生活が、大きく変化したことがわかる。Nelの作曲による「Для неё(For her)」や、2008年に結婚したAizaに捧げたストレートなラブソング「Ice Baby」も印象的だ。

Баста/Гуф (Basta/Guf) : Gazgolder 2010
長年の仲間であり、この当時Gufと人気を二分していた大御所ラッパーBastaとのコラボレーション・アルバム。二人はこれ以前にも度々共演していたが、2010年にGufは、Bastaが主宰するレーベル・Gazgolderと契約。その上でのこのアルバムリリースであった。人気ラッパー1位2位の座にあった二人の共同作品は、ロシアン・ヒップホップにとっても歴史的な一枚になったと言える。収録曲の中からは、「Соответственно(Accordingly)」や「Другая Волна (Another wave)」が特にヒットした。また”侍”をモチーフにした「Самурай(Samurai)」も、インパクトあるPVで注目を集めた。

Сам и (Sam i)  : SBA Production 2012
ソロアルバムリリースに数年ブランクがありながらも、その間Gufは活発に活動していたので、この三作目はファン待望の新作となった。2012年はKastaのVladiもソロ二作目をリリースし、それと対比する形でも注目された。共演アーティストの幅も広がり、特に目玉はOu74、Murovei、TAHDEM Foundation。周囲の予想を裏切ってくる人選だった。タイトルの「Сам и(Sam i)」には、ロシア語で”Myself and…(自分自身と、、、)”という意味があることと、Gufの息子の名前Samiのダブルミーニングになっている。息子や家族の話題が歌詞に多いことと、今までの麻薬中毒的な内容から打って変わり、年齢による健康の不安などがチラホラ読まれていることも特徴的な一枚。

420 : Warner Music Group Company, ZM Nation 2014
ダンスホール・ミュージック&ヒップホップの3人組ユニットTrue Jamaican CrewのメンバーRigosとのコラボレーション・アルバム。アルバム発表に先駆けて、2013年に「420」という曲のPVが公開されたが、アルバムには結局収録されず。アルバムの方は、どちらかというとRigosの世界観とメロディセンスが基盤になっていて、その上でGufが自由に泳いでいるような印象の仕上がり。プロデュースも、過去にRigosの楽曲を手がけていたBluntcathが担当した。Rigosは当時まだメジャーな存在ではなく、このGufとの共演から一気に飛躍したラッパーだ。かけ離れた二つの個性の融合が、Bastaとのコラボレーションとはまったく違う完成度を生んだ。

Ещё (More)  : SBA Production 2012
4枚目のソロアルバム。Rigosとの前作「420」をプロデュースしたBluntcathが、再び全曲を手がけた。この頃にはGufはCENTRのメンバーSlim、Ptahaの二人と和解しており、CENTRに再加入していた。このアルバムの録音も、CENTRのツェーアーオー・レコーズで行われ、SlimとPtahaもゲストとして参加。長年のファンを喜ばせた。その他にもRigosや、この当時の大注目株であったアゼルバイジャン出身のユニットKaspysky Gruz、そして相変わらずPrincipとのコラボレーションも収録された。アルバムの中から二曲(「Бай(Bye)」、「Маугли(Mowgli)」)にPVが作られた。

Guf Discography

KREC Discography