KREC

KrecKREC

Rap group from Saint-petersburg, Russia. 

← In the photo from the left —— Marat (Марат), Fuze (Фьюз)

The name of the group is an abbreviation of “Kitchen-records”. It is because literally their first track was recorded in the kitchen.

KREC formed by Marat and Fuze in 2001. In the same year, they have released album “Invasion”. After that, Assai joined KREC and they recorded 2nd album “There is no magic”. It was released in 2004. KREC differs from others because of its style – more melodious and calm than other any hip-hop artists. Their 3rd album “Along the river” was released in 2006. In the summer of 2009, Assai left the group and KREC have become original members again. Marat and Fuze recorded album “Petersburg-Moscow” with MC Check. One year after, “Fragments” was released and from this album, many songs became hits (e.g. “Barely breathing” “Blink” …). 13 September 2012, KREC released new album “Молча проще”.

26 November 2012,  Fuze has informed that Marat left KREC.

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サンクトペテルブルグ出身のユニット。KRECという名前はKithcen-recordsの略。これは彼らの最初のトラックが、文字通り台所で録音された事に由来する。2001年にラッパーのFuzeとメロディーメイカーのMaratが結成、アルバム「Вторжение (Invasion)」を発表した。その後同郷のラッパーAssaiが参加し、2004年に2ndアルバム「Нет волшебства (There is no magic)」をリリース。彼らを始め、Smoky Moなどのラッパーが築いた新たなラップシーンは「サンクトペテルブルグのニューウェーブ」として注目を集める。現在COSMOSTARSとして活動するSetとも、この頃からコラボレーションを重ねている。2006年には3rdアルバム「По реке (Along the river)」を発表、その中から「Нежность (Tenderness)」が、サンクトペテルブルグを舞台にした映画「Piter FM」にも使われたりと、ヒップホップの枠を超えてファンを増やす。2009年夏にAssaiが脱退してからは結成当初の二人に戻り、同年冬にMC Checkの参加のもとアルバム「Питер-Москва (Petersburg-Moscow)」を録音した。翌年には6作目となる「Осколки (Fragments)」を発表し、このアルバムからいくつものヒット曲が生まれた。

二人は立派なスタジオを作り、その名はもちろんKithcen-records。その設備も機材も、他のラッパーがうらやむほどだ。2012年9月13日に今までとは大きく趣を変えたアルバムを発表したが、翌々月の11月26日にMaratが電撃的に脱退。この事をFuzeは Twitterで公表し、ラップ界からの驚きの反応はしばらく続いた。2014年にはFuzeは単独でアルバム「Воздух свободы (Air of freedom)」をリリース。アコースティックギターに乗せたラップという新しい分野に踏み出し、注目を集める。だが、2016年に発表したアルバム「FRVTR 812」では、どちらかというとMaratがいた時期の終盤の頃の作風に戻ったような印象がある。

● ● ● Discography ● ● ●

Нет волшебства (There is no magic)Kitchen Records 2004
現在人気を博しているラッパーたちの中で、KRECはキャリアが長い方だが、今のヒップホップシーンにおいて最も早い段階でインパクトを与えたアルバムが、このKRECの2作目「Нет волшебства(There is no magic)」だ。残念ながら、デビュー作「Вторжение (invasion)」の音源は今のところ聞くことができない。アルバム全体の仕上がりとしては、FuzeよりAssaiのラッパーとしての活躍の方が目立っている。この当時のヒットといえば、ギャングスタ・ラッパーSeryogaの「Чёрный Бумер(Black Beemer)」。またKarandashやKastaが活躍し始めたのもこの頃だった、そんな中でサンクトペテルブルグの風潮を強く印象付けたKRECの役割は大きい。

По реке (Along the river) Kitchen Records 2006
サンクトペテルブルグのラッパーMaestro A-Sidの協力のもとに制作された。彼の活躍加減は、ほとんどサブメンバーといってもいいだろう。前作とはだいぶ趣が変わり、がっつりメロディアスでロマンティックな内容のアルバムに仕上がった。ラップ面での主導はFuzeになり、Assaiのパートが少なくなったのも大きな変化で、それが今後のKRECの音楽的方向性を決めることとなる。2006年に公開され大ヒットした映画「Peter FM」の挿入歌「Нежность (Tenderness)」も収録。この曲は現在でもKRECの代表曲と言われている。KRECの初期のファンにとっては、この当時のFuzeの楽曲がきっかけを作っていると思われる。その後数年のKREC的サウンドの基礎となった。

Meloman : 2+2=5 2007
メンバーAssaiはまだKRECに所属はしていたが、前回のアルバムからKRECのスタイルに違和感を感じていたこともあり、この4作目にはほとんど関与しなかった。またソロ活動も初めていて、ちょうど2作目を製作中であったこともある。そのため、これはラッパーFuzeとメロディーメイカーMaratの二人構成での最初のアルバムと言える。しかし一方では、これはFuzeのソロアルバムであると記載されているところもあり、扱いが微妙なのだが、アルバムリリースの名義も、ジャケットに書かれたアーティスト名もKRECとなっているので、デュオとしてのアルバムに数えることにする。とはいえサウンド的には、ポップの要素が過去の作品に比べて更に強くなっていて、そこにFuzeの個人的な意向が強く打ち出されていることは確かである。相変わらずMaestro A-Sidも参加。

Осколки(Fragments) : Студия СОЮЗ(Studia Soyuz) 2010
結成から10年目にして、後にも先にもKRECにとっての最大ヒット作と言える。Intro部分でFuzeがその思いをちらっと語っており、そこからドラマチックに幕を開ける。いくつものヒット曲が生まれた一枚でもあり、特にメロウでロマンチックなラブソング「Еле дыша(Barely breathing)」がヒットした。今まで以上にメロディアスな曲調が、これまでの根強いファン以外の関心と評価も得ることとなった。かと思えば10曲目「Правда улиц(The street’s truth)」ではわかりやすく都会的なハードなラップを読んでいる。そのPVには長年の仲良しのサンクトペテルブルグのラッパーSmoky Moや、ウクライナのLionなどが出演している。ここにきて初めて、大物Bastaもコラボレーション・アーティストとして参加している。

Молча проще(Silence is easier) : Студия СОЮЗ(Studia Soyuz) 2012
前作から大きく趣を変えてきた6作目。初期のサウンドに立ち返った感もありつつ、簡素さとロック色の強さが、これまでになかった激しさを醸し出し、長年のファンからは賛否両論。ただ、同じくラップ・シーンで活躍する仲間からは、かつてないほどの支持を得た。やはり、そこには新たなステージへ進むことへの勇気に対するリスペクトが介在するのかもしれない。特にKRECのように独自の路線で売れてきたユニットにとっては、その世界観を一旦手放すことは大きな挑戦だったと言える。しかし、このリリースの数ヶ月後に、メロディーメイカーMaratが電撃的に脱退。FuzeがTwitterで伝えた。理由ははっきりしていないが、リスナーや同業者の間で議論を呼んだが、FuzeはKRECの存続を表明し、予定されていたツアーを一人でこなし、新生KRECとしての一歩を踏み出した。

Воздух свободы (Air of freedom) : United Music Group 2014
KRECがラッパーFuze一人になって初のアルバム。前作と続き、また違う意味で異色の一枚となった。一言で言えば、アコースティックなラップアルバム。ロシアでは、あまり好まれなかったスタイルでもある。2013年からサポート・ミュージシャンとして、ギタリストДенис Харлашин(Denis Harlashin)と、ボーカリストЛюбовь Владимирова(lyubov vladimirova)が参加。それ以外のアーティストとのコラボレーションは一曲もない。冒険的でもあり、またMaratが去った後の新たなKRECとしての、Fuzeの試行錯誤が垣間見える。しかし、長年のメロディーメイカーを失った後としては、納得の展開とも言える。

FRVTR 812 : HitWonder 2016
KRECとしては初のコンセプト・アルバムで、収録曲全15曲通してАнтон(アントン)という人物のストーリーを語る内容になっている。サウンドとしては、初期の名盤「Нет волшебства (There is no magic)」や、二作前の「Молча проще(Silence is easier)」に近いような印象。だが、キャッチーさをがっつり捨てて、より激しく、一曲目からその作り込まれた世界観に引き込んでくる。この2015-16を代表するニューウェーヴКаспийский Груз(Kaspysky Gruz)やRigosのアルバムの、暗く濃厚な空気感に近しいような印象を与える。だが、そんな中でもFuze独特の綺麗で軽やかなラップも健在なところが頼もしい。

Обелиск 16(Obelisk 16) : Kitchen Records 2017
タイトルの通り16曲から構成されたアルバム。その一曲一曲を重要視する意味で「オべリスク(記念碑)16」と名付けられた。収録内容としては、その多くが2016年にすでに発表されていたシングルであり、そこに新曲を追加して完成させた感じである。前作があまりに強くそのストーリー性と世界観を主張してきたのに対して、今回はもう少し気軽に、Fuze的なラップの集合体として聞けるような仕上がり。ソロとしてKRECの活動を始めて以来、Fuzeは新たな表現方法を模索してきたわけだが、それを経て、今回初めて気を張らずに収録に取り組めたのではないか、という様が想像できる。取り立てて大きなテーマも持たず、心の赴くままの創作活動に行き着いたFuzeの「新たなステージ」が楽しめる。

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